目次
今日は「モノづくりの気持ち」の話
その前に今回の記事は「前半が自分たちへのメモ」「後半がスカート作り」の話ですので、前半を読んでも大して面白くないと思うので興味がない方は前半をパーッと飛ばして「スポーツ スタイル スカートのデザイン」の項目からどうぞ。
ではここから。
いままでに犬服のスカートは色々なデザインを製作をしてきたけど今回はかなり手こずった、と言っても実際に手こずったのは製作するよっちゃんで、俺は「このドレープが気になる!着丈が短い!着丈が長い!たるみが多い!縫い幅が狭い!ああだ!こうだ!やり直し〜」と言うだけで気楽なもんです・・・と、思われがちだけど実際はモノづくりのなかで製作者に色々と言うのは勇気と根性と、根気がいるものです。
製作したスカート
ハンドメイド作家と資本主義
近頃はハンドメイドで色々なものを製作している人を多く見かけます。それだけ個人で製作したモノを欲しいと感じてくれた人に届けやすくなったと言うことです。いろいろな販売システムや、SNSを活用すればそれなりに売れます。それなりにとはお小遣い程度と言うことで、それ自体はとても良いことだと思います。もともと手先が器用でモノづくりが好きという人が色々な事情で働きに出れない。空いた時間に好きなモノづくりをしたい。それを誰かに届けたい。それが少しでも収入になることは楽しいことです。
少し付け加えるなら短期間の間、2年か、5年程度であればそれでもやり続けることは出来ると思いますが、生涯モノづくりを続けたいと思うなら、考え行動しなければ成らないことが3つあります。よくお金がないから続けれないとか、売り上げが上がらないから続けれないと言う言葉を耳にしますがそんな事は本来モノづくりにとって対した問題ではありません。さらに言えば技術は未熟だとか、もっと上手な人がいるとかも大した問題ではありません。
考えれば簡単な話ですがお金があっても良いものが出来る保証はどこにもありません。逆にお金があると小手先の技術、時間短縮のノウハウ、道具機械の力にお金を注いで本来、そのモノを利用する人が求めている事を少しづつ忘れていき、行き着く先は「原価+人件費+利益=商品値段」と言うような状態になっていきます。正直この図式の方が儲かります。一方モノづくりのは「作りたいモノ×時間=喜び」となります。喜びとは作り手と使い手の喜びです。単にお金を儲けたいのなら、職人を目指さず資本主義を追求した方が良いでしょう。ハンドメイド作家はこの職人と、資本主義の葛藤に悩まされます。でも職人を目指す人はこんなことで悩みません。なぜならそんな事を考える時間がないからです。職人を目指すならこの3つの事を考えるべきです。
モノづくりの3つの大切なこと
どんな業界でもそうですが大切な事はそんなに多くはありません。でも多くない大切な事を意識して続ける事はとても大変なことかも知れません。
1.周りに流されない。情報を集めない。
モノづくりをしていると直ぐ他のお店の事を気にする人がいます。デザインや値段、どんな技術なのか、どれぐらい売れているのか。でもそんな事をいくら調べても自分たちのモノづくりが良くなることはありません。逆にどんどんダメになっていきます。他のお店には他のお店の良さがあり、自分たちのお店にはまた違った良さがある。お互いにその良さを伸ばしていけば、例え同じようなモノを製作していても利用する人は他のお店のモノも、私たちのお店のモノも選ぶはずです。
ちなみになんですが、よっちゃんは他のお店のお洋服を見る事はほとんどありません。まぁ、たまに素敵だなぁ。と想ってそのお洋服はどんな人が作ったのか気になる事はあるでしょうが基本的にネット検索をほどんどしないので、いや出来ないので淡路島に暮らしていると情報の集めようがないようです。結果、それがARATA HOUSEの良い方向性を作り出してくれています。一方、俺は日常的にめちゃくちゃネット検索をするし、調べることが大好き人間なので辞書なんかが昔から好きだったりします。今日も朝からやることあるのにそんな事はほったらかしで「パン 簡単」なんかを調べていました。最近、自宅で簡単にパンを焼きたいなぁ、なんて思う日が多くて・・・。情報を集めるとついついその情報を発表したくなります、こんな事も職人になるためには必要がないことです。
2.妥協をしない
長く同じものを製作していると「このぐらいはまぁいいか。今日はいいか。」と勝手に理由をつけて妥協をし始めます。休憩や息抜きはとても大切なことですが、妥協はそれとは次元が違うとてもやっかいな心の問題です。例えば服作りで言うと縫い糸のライン、縫い目が歪んだ事は自分でわかっているのにそのまま注文者に届けてしまう。それを1度行ってしまうと、かなり努力をしないと、その歪んだ心は戻りません。もちろん最初から綺麗縫えるものではないので、いきなり上級者を目指せと言っているのではなく、いつも綺麗に縫えているラインを妥協してOKにしてしまう事が問題なのです。
だからARATA HOUSEのお洋服は皆さんの手元に届ける前に、必ず製作者のよっちゃんが確認をして、さらに製作しない気ままに過ごしている俺もチェックをします。全体のバランス、縫い糸のライン、強度、糸の始末、ゴミ、汚れなどを見て、俺が気になる部分は必ず改善するように、よっちゃんと最初に話し合いました。でなければ俺がチェックをする意味がありません。だから最近は製作中に少しでも気になる部分は何度もやり直しているようです。だから時間がかかります。こんな感じで進めていると年々、モノづくり対しての妥協がなくなってきます。
でもまだお洋服を作り始めて3年ほど、洋裁学校も、先生と呼べる人も何もなく、よく独学でここまでやっていると感じます。だからこれからのよっちゃんの服作りを一番、楽しみにしているのは俺なのかも知れません。実はこの半ズボンも一度、作りなおしてもらいました(笑)大変だね、よっちゃん(笑)
ARATA HOUSEのよっちゃんに洋服をオーダーしたら、2年かかってやっと届いた。さらにポケットに対する考え方が独特で困った。
3.今のモノづくり延長線にあるチャレンジをする
モノづくりを始めて少し時間が経つと、慣れてきてあれも、これも作りたくなります。あれも、これも作る事は良い事です。その工程から新たな学びがたくさん生まれます。あれも、これも製作して良いのですが、そのモノが今のモノづくりを向上させる事が出来るかどうかが大切です。それは考えればわかります。例えばよっちゃんは、陶芸も好きです。
学生時代に陶芸に興味を持ち、モノ作りが楽しいと感じたからこそ今の服作りもやってみようと思えたのかも知れません。もちろんBuono!が我が家に来た事も大きな理由ですが、それだけで犬服を作り、必要としてくれる人に届けようとまでは思わないと思います。そう言えば寝袋の商品説明ページにこんな一文が書いてあります。
縫い物が苦手、ARATA HOUSEの寝袋かわいい、よっつーの完璧すぎない商品が好きです。と思って下さる方に喜んでいただければいいなと思いながら一つ一つ丁寧に思いを込めて作り続けます。
よっちゃんがこれを書いた当初「完璧すぎない商品が好きです。と思って下さる方に喜んでいただければいいなと思いながら」この部分は書かない方がいいかなぁ。と相談されたのですが、いいじゃん本当なんだからと言ってそのままショップに掲載した記憶があります。「完璧すぎない商品が好きで、それを喜ぶ人」めちゃくちゃ良い人じゃん。と想った記憶もありますが、それが現実になっています、今のARATA HOUSEは「完璧すぎない商品が好きで、それを喜ぶ人」によって支えられています(笑)冗談のようですが本当の話です。世の中って不思議です。それでも年々、良くはなって着るような気がするのですが如何でしょうか。
とここまでは、今後の自分たちの為にメモをしておきたかったので長くなりましたがここからが本題です。今回「流されず、妥協せず、チャレンジ」したお洋服は「Simple Sports Style Camouflage(迷彩)のスカートカスタマイズ」です。
スポーツ スタイル スカートのデザイン
先日、上の写真の「Simple Sports Style Camouflage(迷彩)|裏毛パイルプリント」をスカートにして欲しいとの依頼がありました。ARATA HOUSEの犬服は基本的にどのデザインでもスカートカスタマイズできるようにしていますが、まさかこのお洋服でスカートの依頼があるとは想っていませんでした。当然、スカートにするならこんな感じと言ったイメージは持っていますが依頼があるとは真剣には考えていなかったのでここからがモノ作りの楽しい部分でもあり、根気のいる部分でもあります。
通常ARATA HOUSEのスカートは上品で可愛いレースを付けることを前提としていますが流石にこの生地にレースをつけたらセンスが無さすぎます。
依頼者の飼い主さんが凄い
「Simple Sports Style Camouflage(迷彩)|裏毛パイルプリント」のスカートはいままで1着も製作していないので当然、ショップにもブログにもどこを探しても見本はありません。だからご注文前に「どんなデザインになりますか?」と質問でもあるかと想っていたら、お届けをするまで一切質問はありませんでした。もし俺ならと考えると「どんなスカートデザインになりますか?」と質問しちゃいます。逆に質問も、指定もなかったので私たちが想うデザインで進める事にしました。
Sports Style Skirt サンプル作り
流石にいきなり本番と言うわけにもいかないのサンプルのスカートを作ります。この生地は裏毛パイルプリントと言って少し厚みがあるのでそこも厄介な点です。出来れば同じ生地でサンプルスカートを製作したいのですがこの生地はあまり在庫もないので何度もサンプルを作れないので同じような無地の生地を利用する事にしました。あとから思えば無地の生地で思い通りの仕上がりになれば、その形がカモフラになれば可愛いのは決定です。
先ずは大まかな構想をよっちゃんと話し合って、と言っても「スポティさと可愛さを兼ね備えたランニングスカート」と言う程度で、あとはよっちゃんに丸投げです。はい。言うのは簡単、実現するのは難しい。
スカートサンプル1着目 ボツ
よっちゃんが仕上げた1着目は全然ダメ。俺の中ではこれでは依頼者に届けるわけにはいかない。まぁ妥協すればそれなりにOKなのだが、届けた後によっちゃんも後悔する可能性もある。届けるなら今できるベストを尽くしたお洋服が良い。後で後悔するぐらいならもう一度、作り直すべき、と言うことで2着目へ。
スカートサンプル2着目 良くはなったけど
1着目より2着目は明らかにスタイリッシュな雰囲気が出てきた、ドレープの入れ方、角度が良くなっているけど、まだまだ「スポティさと可愛さを兼ね備えたランニングスカート」と言ったイメージには遠い。何がダメなのか。どこの改善すればいいのか。手探りで進めていく。そして3着目へ。
スカートサンプル3着目 いいね!
ドレープの入れ方、本数、たるみ具合が断然良くなった。これなら依頼者の方に自信を持ってお届けできる。結局、本番前に完成版で3着、細部の確認等でもろもろ作る。でもこの工程がとても好き。何も無いところからモノを創り出す達成感。もしかしたらまだ100点満点ではないかも知れないけど、それは今後、色々なお洋服を作り、考えながら、100点に向けて繰り返しお洋服を作っていく。そもそもモノづくりに100点は無いんでしょうね。
さてここで気になることが
依頼者からのスカートの着丈が私たちが可愛いと感じる着丈より短い。人ぞれぞれ好みが違うからこのまま製作を進めても良いのだけど、私たちの中にはこんなルールがある。「製作に関して気になることは聞く。」完成してお届けしてからやっぱりこの方が良かったと想ってそれは時遅し。もう戻れない。だから気になった事は聞く。
そしてSSSCSをお届け
依頼から40日ほどしてようやく完成した「Simple Sports Style Camouflage Skirt(迷彩)」を依頼者にお届け、サイズは大丈夫かなぁ、喜んでくれるかなぁ、などなどいつものようにワクワク、ドキドキしながら待つこと数日。
おぉぉぉ可愛いじゃん!!!そうなんです。実は兄妹でお揃いのお洋服なんです。
男子にはロンパースタイプでお作りしました。あっ!確かに眠そう。。
「スカート激かわ???」嬉しいフレーズ。そうなんです、見るとわかります「激かわ❤︎」さが。ぜひ皆さん見に行ってください(笑)俺も生で見て見たい、何県だったかなぁ??
そして横が見えない。
後日、動画を公開してくれました♪
「激かわ???」この方のセンスの良いところは、兄妹同じ色のカモフラを選んだところです。普通は色違いを選びがちだけど敢えて同じ色にするセンス!素敵❤︎
よくよく見ると首輪もリードも兄妹で同じ色? お洒落上級者です。いつもよっちゃんと話をするですが「愛犬の顔や、スタイルに目がいくお洋服がいいね。」と。まさにその通りのイタグレ兄妹。お洋服がシンプルだからこそ愛犬の顔が際立つ。そしてさり気ない拘りが最高のお洒落なんです。Buono!に兄妹がいたら間違い無く我が家も同じようなコーデをしているでしょうね。
チャレンジの機会をありがとう。
長い時間待っててくれて、ありがとう。
インスタにイタグレの名前が紹介されていた
「dino♂&Giulietta♀」
ありがとう。
終わりに。
モノづくりで出来ないモノはない。ただ時間がかかる。そういつも考えている。これからも「流されず、妥協せず、チャレンジ」したお洋服を作ろう。